ロッキー・ホラー・ショー

ロッキー・ホラー・ショー 

THE ROCKY HORROR PICTURE SHOW

あの“参加する映画” カルトムービーの代表格!

1988年7月20日-1988年10月25日 レイトショー

↑ PAGE TOP

作品概要

PLAYHOUSEの伝説的なノリで楽しみたい
『ロッキー・ホラー・ショー』           ─箕輪篤男

「the village VOICE」紙の映画広告ページをめくっていくと、新作の広告に混じって、いつでも、必ず、掲載されている映画の広告がある。それはニューヨークの81th St. PLAYHOUSEというファースト・ラン(ロードショー公開)の映画館で、毎週金曜と土曜の夜に、“ミッドナイト・ショー”と銘打って上映される『ロッキー・ホラー・ショー』の映画広告なのだ。そしてこの『ロッキー・ホラー・ショー』の広告は、10年以上掲載されているはずである。すごいロングラン上映だよね!
『ロッキー・ホラー』がアメリカのファースト・ランの映画館で上映されたのは'75年。そこでもヒットはしたけれど、『ロッキー・ホラー』の人気が過熱したのは、'78年にPLAYHOUSEの“ミッドナイト・ショー”が始まってからだとえるだろう。
なにしろ、PLAYHOUSEでの『ロッキー・ホラー』の上映に詰めかけるファンは『ロッキー・ホラー』を、たんに見に来ているのではなく、『ロッキー・ホラー』というショーに“参加”することが目的でやって来るのだから、ヒート・アップするわけだ。ミュージカル・シーンに合わせて、観客が歌い、踊る、なんてのは序の口。映画の冒頭のジャネットとブラッドの結婚式のシーンでは、観客が画面に向かって米ツブを投げつけてしまうし、ジャネットとブラッドが嵐に巻き込まれるシーンだと、観客は傘をさすか、頭に新聞紙をかぶってみたりするのだ。要するにPLAYHOUSEの『ロッキー・ホラー』の観客は、劇中の出来事を、自分自身の体験として受け止めて、自分自身のリアクションで表現する映画の楽しみ方を生み出したのである。
このPLAYHOUSE的『ロッキー・ホラー』の楽しみ方を、我が目で確かめたかったらアラン・パーカーの『フェーム』を見るといい。『フェーム』の主人公達がPLAYHOUSEに出掛けて、『ロッキー・ホラー』に“参加”しているシーンがありますから─。
ところでPLAYHOUSEの『ロッキー・ホラー』は、今やNYの名物になっているけれど、そもそもの『ロッキー・ホラー』は、'73年にロンドンの小劇場で上映されたステージ・ミュージカルが“ルーツ”だったのだ。当時のロンドンの音楽シーンは、Tレックスやデビッド・ボウイらのグラム・ロックと、ロックンロール・リバイバルが全盛だった。その頃、30歳前後だった作曲家のリチャード・オブライエンは、グラムロックの倒錯的世界に'50年代へのノスタルジアと、B級ホラー、SF映画への想いをブレンドするアイディアを思い付き、物語を書き上げ、作詞、作曲して、『ロッキー・ホラー』の原作が作られたのである。この原作を基にして、舞台の演出家のジム・シャーマンがステージ化したところ、ロンドンで大ヒットになり、その人気はアメリカに飛び火してブロードウェイに進出していったのだ。
そしてブロードウェイでも成功した『ロッキー・ホラー』に目を向けたのが、'60年代カリフォルニア・ロック・シーンの大物音楽プロデューサーであり、ロバート・オルトマンの『バード★シット』や、チープ&チョンの映画製作者でもあるルー・アドラーで、アドラーの製作総指揮によって、『ロッキー・ホラー』の映画化が実現した、というわけなのです。
日本では'75年と'76年に『ロッキー・ホラー』の舞台公演が行われ、映画は'76年に公開。映画公開から12年後の今夏、伝説になっていたPLAYHOUSE的『ロッキー・ホラー』の楽しみ方が、遂に日本でも本格的に体験出来るのである! ぼくの場合は『ロッキー・ホラー』に“参加”する楽しみを味わいつつ劇場で歌われるフェイ・レイ(『キング・コング』)やアン・フランシス(『禁断の惑星』)、レオ・G・キャロル(『タランチュラの襲撃』)、クロード・レインズ(『透明人間』)ら、SFホラー映画スターにオマージュをおくりたい!
(みのわあつお/ポップカルチャー・ライター)

↑ PAGE TOP

スタッフ・キャスト

監督:ジム・シャーマン
製作総指揮:ルー・アドラー
製作:マイケル・ホワイト
原作ミュージカル作詞+作曲:リチャード・オブライエン
脚本:ジム・シャーマン/リチャード・オブライエン
音楽監督+編曲:リチャード・ハートレィ

キャスト:ティム・カリー/スーザン・サランドン/バリー・ボストウィック/リチャード・オブライエン/パトリシア・クイン/リトル・ネル/ジョナサン・アダムス/ピーター・ハインウッド/ミートローフ/チャールズ・グレイ

1975年/アメリカ/カラー/99分
原語:英語

協賛:日本たばこ
配給:ユーロスペース

↑ PAGE TOP