フランスの思い出

フランスの思い出 

LE GRAND CHEMIN

幸福。

1988年8月6日-1988年9月22日

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作品概要

解説
フランスという国は外国に自慢できるものをたくさん持っている。芸術、ワイン、料理、ファッションetc。しかしこれらに加えて、これこそが財産です、と呼べるものが一つあって、それは残念ながら輸出できない。フランスの田舎(カンパーニュ)がそれである。
フランス人が愛惜をこめて語るフランスの、夏の田舎を舞台に、一人の都会っ子の少年がそこでバカンスを過ごし、さまざまな大人や子どもとの交流を通して、少しばかり大人になっていくおはなし、それが「フランスの思い出」。
アメリカ映画が圧倒的な強さを見せた、1987年のフランス興行界でそれらに互して、フランス映画として興行一位を占め、'88年にはアメリカでも封切りされて好成績を残した。ヨーロッパ、カナダ等で数々の賞に輝き、トリともいえる1988年3月セザール賞では、主演男女優賞に輝いた。「フランスの思い出」の波紋はこれからも広がるばかりである。なりよりも、内容の解りやすさ、素直さ、暖かい人間の眼差し、そして描き方が、観客の胸をうち、久しくなかった「感銘と涙」を引っぱり出すのである。
作品はジャン=ルイ・ユベールという若い監督の自伝的色彩の強いもので、映画の舞台は彼が育ったロアール・アトランティック県のルーアンスという片田舎。大都市ナントからバスで一時間の村。時代は1959年ということになっている。
その静かな田園に、一人のヒヨワな都会っ子ルイが母に連れられてバカンスを過ごすためにやっってくる。多忙の母はトンボ帰りでパリへ帰らなければならず、一人きりになるのは嫌だと母に抱きついてヒーヒー泣く。そんなシーンをイントロとして映画の、そして夏の幕が上がる。
そんなルイを中心として、彼を預かる夫婦、プロとマルセル、隣家のオマセな少女マルティーヌ、その姉、そして恋人、鍛冶屋、神父等々村には欠かせない顔ぶれが揃い、ドラマが展開する。進行とともに、いろいろなことが分かってくる。プロとマルセルの夫婦には何か隠された事情がありそうだし、マルティーヌの両親やマルティーヌ自身、姉の恋人にも何か辛いわけがありそうだ・・・。映画はそれらの事情が一つ一つ明らかになり、ルイの目に映るとともに、ルイにも決定的な悲しい事件が起こる。少年の目を通して、大人たちを描きながら、やがてルイもまたある選択をせざるを得なくなる・・・。美しい田園風景をバックに人間ドラマが進展していく。映画は繊細で美しく、しかもストレートに“人生”を突きつけてくる。この直裁さが、ヒットの要因であった。
主演のルイは、監督の実の息子のアントワーヌ。主演男女優賞を仲よく獲得した夫婦役に有名なコメディエンヌ、アネモーヌと、実力派、リシャール・ボーランジェ。二人とも名優だが、とりわけ、一見粗野だが、内部にあふれるやさしさを秘めたプロ役のリシャール・ボーランジェは感動的だ。さらにオマセなマルティーヌ役のヴァネッサ・グジは達者に三枚目的演技を見せる。
プロデューサーは「赤ちゃんに乾杯」のヒットメーカー、ジャン=フランソワ・ルプティ。この2作の大ヒットで彼はいま、アメリカからの最も熱いラブコールを送られるプロデューサーとなった。情緒たっぷりの音楽はジョルジュ・グラニエ、美しい田園の撮影はクロード・ルコント。
なお邦題の「フランスの思い出」はフランスという国が誇りに思う美しい田舎、それへの憧景といった意味である。(原題「大通り」)

物語
「大通り、つぎは大通り」ガタゴト道をバスに揺られ続けて、ようやくルイは母と二人、目的地のルーアンス村に着いた。母がこの夏お産をするので、夏休みを母の幼友達のマルセル・リュカの家で過ごすことになっているのだ。繊細で甘えん坊のルイはもちろん気がすすまないが、母に諭され、仕方ない、やっとガマンしている。
ルイの母親の胸中にはお産のほかに、実は別居中の夫と離婚の危機、という大問題もあるのだが、大人たちの配慮で、ルイ少年にはそれは知らされていない。“お父さんはニースのホテルでとても忙しく働いている”ということになっている。
久しぶりに会ったマルセルにルイを預けると、すぐに母は帰ってしまった。ルイにとっては初めての、一人ぼっちの、田舎での不安な長い夏休みが始まった。

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スタッフ・キャスト

監督+脚本+台詞:ジャン=ルー・ユベール
製作:パスカル・オメ/ジャン=フランソワ・ルプティ
撮影:クロード・ルコント
音楽:ジョルジュ・グラニエ
美術:ティェリイ・フラマン

キャスト:アネモーヌ/リシャール・ボーランジェ/アントワーヌ・ユベール/ヴァネッサ・グジ/クリスチーヌ・パスカル/ラウール・ビイレー

1987年/フランス/カラー/107分
原語:フランス語


配給:巴里映画

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