二十世紀少年読本
1989年11月23日-1990年1月26日
サーカスへの愛とオマージュに満ちた
林 海象、待望の最新作!
『夢みるように眠りたい』で鮮烈なデビューを飾り、日本映画界の逸材として期待される林海象監督、待望の最新作が『二十世紀少年読本』。
前作ではサイレント映画をモチーフに取り上げた林海象が、この作品では「日本のサーカス」をテーマに据え、その娯楽の歴史を、そこに生きた人々の物語を、そして昭和という時代をファンタジックに描き上げていきます。
ジンタの響き、空中ブランコ、象使いの少年、おかしなピエロたち―限りない愛しさを込めてスクリーンに再現されるサーカスの舞台。そしてサーカスを故郷とする他ない主人公たちがたどる運命の旅。林海象は、日本人の誰もが“心に秘めているノスタルジア”という宝物を掘り起こし、モノクロ/ヴィスタサイズの美しい映像として定着させて見せます。
日本がいちばん素敵だった時代、誰もが夢みることに熱狂したあの頃―そんな気持ちをもう一度取り戻させてくれる映画。それが『二十世紀少年読本』です。
全キャストをオーディションで決定。
豪華!多彩!異色のキャストそしてスタッフ。
主演は日本映画界で今最も注目すべき存在、三上博史。この作品を代表作にと全力投球の熱演で挑んでいます。対するヒロインには『夢みるように眠りたい』で絶賛を浴びた佳村萌。これに桂三枝、原田芳雄、鰐淵晴子といったそうそうたるゲスト陣が出演。
また、「キャラクターが役を作る」という林海象の哲学に基づき、この映画のキャスティングには、大々的なオーディション方式を採用、従来のスター・システムにはない数々のユニークな新人を生み出しました。中でも注目すべきは、現役のサーカス少女・朝山ゆき。その可憐な容姿と確かなサーカス芸はこの映画の大きな見どころのひとつ。そして、修健(『グレート・ウォール』)、山人幸雄(『イヤー・オブ・ドラゴン』)など海外作品で活躍中の俳優、ニューヨーク生まれの秋吉満ちるといったインターナショナルな顔ぶれが揃い、英語、日本語、中国語が飛び交うユニークな撮影風景も。
スタッフ陣もメイクアップの渡辺サブロオ、衣裳デザインの伊藤佐智子など映画以外の分野で活躍中の超一流どころが結集、林海象の映像世界を盛り立てています。
〈ものがたり〉
昭和のまんなか、日本が夢みる頃・・・
日本のサーカス団の数、十七。
その十七番目にあたる「三日月大サーカス」という名ばかりの
大サーカス団を舞台にして、この物語は始まる。
このサーカス団には、二人の兄弟がいた。
兄は名を仁太、弟は渡といった。
兄は八才、弟は四才の兄弟であった。
いつもいつも、仁太と渡は、沸き立つサーカスの舞台のそでぐちから、
つないだ手に汗にぎりながら、
めくるめく空中ブランコや曲芸の数々に、目を輝かせているのだった。
二人のあこがれ、夢はひとつ
大人になったら「サーカスマン」になる事
しかし・・・
夢ははかなく、時は流れる
二人の兄弟は、運命という川に流され別々の未来へと進んでいく
渡は、今ではかつての栄華のみるかげもない「三日月大サーカス」の復興を望むが
芸人たちは、一人抜け、二人抜け、残ったのは団員五名に象一匹。
こんな事に負けてはならない、と無口な渡は心に誓い、混血の美女マリアと
新しいサーカスショーに挑んでいくのでありました。
兄の仁太は、どうしたろう?
兄の仁太は、サーカスを捨て、自分を捨て、村から村への浮き草稼業。
何でも売ります口先三寸。
人を騙すは朝めしまえの色男。
「俺は嘘の天才だ」と一人うそぶく仁太の心。
どれが本当で、どれが嘘、本人だってわからない。
そんな仁太が、女に会った。
おもちゃという名の心に花が咲く女。
心の花は真実しか語らない。
仁太はおもちゃと真実の恋に堕ちる
二人は、手に手をとって逃げる逃げる・・・
どれが本当で、どれが嘘、本人たちはわかってる。
果たして、恋の道行、どこまで逃げおうせることでありましょうか・・・
監督+脚本+製作:林 海象
製作:白川隆三
音楽プロデューサー:吉田晴彦
衣装デザイン:伊藤佐智子
美粧結髪監修:渡辺サブロオ
撮影:長田勇市
照明:長田達也
美術:木村威夫/山崎秀満
キャスト:三上博史/佳村 萌/桂 三枝/原田芳雄/鰐淵晴子/佐野史郎/片桐はいり/麿 赤児
1989年/日本/35mm/モノクロ/ヴィスタ/106分
原語:日本語
製作・著作:CBS・ソニーグループ
配給:CBS・ソニーグループ