侍女の物語
THE HANDOMAID'S TALE
女は母になることを許されなかった
1991年3月21日-1991年4月19日
女性たちからのS.O.S.
INTORODUCTION
近未来、舞台は環境汚染などの影響で出生率が著しく低下した架空の国(アメリカ?)。保守勢力が支配する社会で、女性はあらゆる自由を剥奪されていた。そして、妊娠能力のある少数の少女たちが“侍女”として、政府高官たちに仕え、精液を受けるのだった━。
これはカナダの女流作家マーガレット・アトウッドの同名小説を原作に、最高のスタッフが創造した“女と男のショッキングな夢物語”である。
STUFF & CAST
原作はカナダ、アメリカ他、全世界的で大きな反響を呼んだベストセラー小説。監督はかつてニュー・ジャーマン・シネマの旗手と称された『ブリキの太鼓』の名匠フォルカー・シュレンドルフ。脚本イギリスの戯曲作家ハロルド・ピンターが、オリジナル・スコアは今や世界的作曲家と評判が高まっている坂本龍一が担当している。
主演はオスカー監督トニー・リチャードソンとバネッサ・レッドグレープの愛娘で、将来を属望されているナターシャ・リチャードソン。共演はオスカー受賞の名優ロバート・デュバルとフェイ・ダナウェイ他、『張り込み』のアイダン・クイン、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』のエリザベス・マクガバン等が脇を固めている。
GRAPH
この映画のもうひとつの主役は、鮮烈な映像美だ。衣装や儀式等の様式は、未来というよりも遠い過去のような斬新なデザインが成されている。また、階級によって色が定められた画一的ユニフォーム、女性を分類するため腕に装着されたバーコード、そんなサイコティックな支配を受ける中で、揺れ動く男と女、夫と妻、そして侍女。これは決して遠い未来の話ではない。
STORY
国外逃亡に失敗したオフレッドは“侍女”としての教育を受け、コマンダー(政府の要人)フレッドの家に派遣された。彼女とフレッド、その妻は屈辱的な子供を孕む儀式を行う。しかし、ニックという謎の男の出現で、女と男の微妙な関係は崩れ始める。女と男の距離は絶望的に拡がって、一縷の希望さえ閉ざされたかに見えたが・・・。
ALARM
科学の排斥、宗教の福建、公開出産・・・人間を家畜のように扱う歪んだ世界。
その発端、諸悪を導くルーツは《環境破壊》である。
科学への盲信が、人間を取り巻く環境を破壊し、人々の心の荒廃を導く。それは遺伝子操作へ至り、生命の神秘さえも丸裸にしてしまう━生態系の破壊は、世界の破壊を、“ヨハネの黙示録”到来を意味するのだろうか?
科学、医学、倫理、宗教・・・これは様々の問題と絡み合って、今、我々の目の前に突きつけられているのだ。
監督:フォルカー・シュレンドルフ
製作総指揮:ウォルフガング・グラッツ
原作:マーガレット・アトウッド
脚本:ハロルド・ピンター
編集:デビッド・レイ
音楽:坂本龍一
製作:ダニエル・ウィルソン
キャスト:ロバート・デュバル/トレイシー・リン/ヴィクトリア・テナント/エリザベス・マクガバン/アイダン・クイン/フェイ・ダナウェイ/ナターシャ・リチャードソン
1990年/アメリカ・ドイツ/カラー108分/ドルビーSR
原語:英語
提供:シネコム・エンターテイメント・グループ
配給:松竹富士