エマ
EMMA
『バベットの晩餐会』『ペレ』のデンマーク映画界が贈る、珠玉の感動作品。
1991年4月20日-1991年6月6日
アンデルセンの国から、愛と感動をあなたに・・・。
1988年『バベットの晩餐会』、1989年『ペレ』とアカデミー外国語映画賞を2年連続で受賞し、一躍注目を浴びたデンマーク映画。その崇高なまでの人間愛と深い洞察力で、全世界に感動と、芸術性の高さを知らしめたのは記憶に新しいところです。そして今、デンマークからふたたび、愛と優しさがたくさん込められた素敵な映画がやってきました。
人間にとってもっとも必要なこととは何でしょうか? そして本当の優しさとは? を、ひとりの少女の目を通して描いた『エマ』は、デンマークはもとより、各国の映画祭でも数々の賞に輝き、世界中を熱い感動で包みました。
主役のエマを演じるのは新人のリーネ・クルーセ。映画出演は初めてとは思えない素晴らしい演技で、第二のアナ・トレント(『ミツバチのささやき』)と評論家から絶賛され、今後を期待されています。またエマを暖かく見守る孤独な中年男性には『ファニーとアレクサンデル』のボリエ・アールスデッドが扮し、デンマークのアカデミー賞の主演男優賞を獲得しました。
少女の頃のあなたがいた━
子どものこと、例えば家族とけんかしたり、叱られたりすると、誰でも一度くらいは家出しようと思ったことがあるでしょう。でも、いざひとりになってみると、とても不安な気持ちになってしまいます。そんな時、あなたはどうしたでしょうか。
この映画の主人公エマは、裕福な家のひとり娘です。ところが、両親は彼女のことなど無関心で、自分の仕事や趣味に熱中しています。エマは一見、何不自由なく暮らしているようですが、本当に必要な、そして彼女自身も一番望んでいた両親からの愛情が不足していました。そこで、勝気で好奇心の強いエマは、淋しさからか、周囲の人の気を引こうとある日、家出を思いついたのです。
分かっているのについ意地を張ってしまう。子ども扱いはいや。でも寂しいのもいや、エマの気持ちはとても複雑ですが、その奥には純粋な少女の心が隠されています。きっと誰もが経験した、懐かしい想いのような・・・。そう、もしかしたら『エマ』の中に少女時代のあなたが見つかるかもしれません。そして、エマはあなた自身かもしれません。
大人は誰も判ってくれなかった。
1932年のデンマーク、コペンハーゲン。全世界を襲った大恐慌の影響はいまだ冷めず、人々の生活は貧しく、暗い世の中でした。そんなある日、上流階級のひとり娘エマは、忙しい両親の気を引こうと誘拐を装い家出をしました。行くあてもなく街を歩く彼女は、夜になって道に迷い、物騒な貧民街に迷いこんでいまいました。空腹と恐怖で悲しくなった彼女は、メルテという中年男性と出会います。彼は孤独で乏しい身なりをしていますが、エマにとても紳士的で優しく接してくれました。年や身分は違っていても、今まで、愛することも愛されることも知らなかったふたりにとって、初めてやすらいだ気持ちを感じるのでした。しかしその頃、エマが誘拐されたと思っている警察はメルテを誘拐犯人として二人を追っていました。
当時のアール・デコ調の美しい様式を再現し、陰影を上手くとらえたダン・ラウスセンの見事なカメラ、そして、アコーデオンの響きを持ったトーマス・リンダールの音楽は、エマの微妙な心の揺れを見事に語っています。
監督+脚本:ソーレン・クラウ・ヤコブセン
製作:ティーヴィ・マグヌスソン
脚本:イェアン・O・イェンセン
撮影:ダン・ラウスセン
音楽:トーマス・リンダール
キャスト:リーネ・クルーセ/ボリエ・アールステット/エゲ・ソフィーエ・スコウボー/ヘンリク・ラーセン/ベント・スタイナート
1988年/デンマーク/カラー/98分/ビスタ
提供:サンマルサン
配給:CFD映画