レイジ・イン・ハーレム
a rage in harlem
純な欲望。エキセントリック、ハーレム。
1992年2月29日-1992年3月27日
薄暗い夢のハーレムが、地下鉄が、ブロンクスからダウンタウンに向かってひた走る
悪夢のトンネルに、鈍い音をたてて入っていく。蜂蜜と、チョコレートと、キャラメルと、
ラムと、ヴィネガーと、レモンと、ライムと、胆汁のハーレムが・・・。 【チェスター・ハイムズ】
ファンキーでエキセントリック!! 黒人の視点で描くブラック・ムービー!
荒削りで俗っぽく視覚的な暴力描写に溢れ、論理などおかまいなく個性的なキャラクターが登場する独特なスタイルで、戦後最も重要なアメリカの天才的黒人作家の一人として評価されているチェスター・ハイムズ。彼の小説を原作にした本作『レイジ・イン・ハーレム』は、1956年のハーレムを舞台に展開する、ユーモアとヴァイタリティに溢れたファンキーなブラック・エンターテイメント・ムービーである。都市に生きる黒人達の姿を、死の臭いとユーモアなしでは語れないハイムズ色を生かしながらも、パワフルにドラマティックに描いていく。映画はハーレムの黒人達の、黄金の入ったトランクを巡っての大抗争から始まる。いかがわしさと、堕落と、無知が入り混じった不思議の国。警官と、変質者と、売春婦と、聖職者が住む世界・・・ハーレム。様々な人物が入り乱れ、そこには愛も、悲劇も、幸せも、人間の雑多な感情が混沌と湧き上がる!
ブラック・パワー全快!! 全米大ヒット作ついに日本上陸!
現在や、世界でその勢力を発揮しているブラック・フィルム旋風の中で、本作は、アメリカに於いて製作中から注目を集め、’91カンヌ国際映画祭に於いて、黒人映画ブームの火付け役ともなったスパイク・リーの新作と共にマスコミをにぎわせた。そして、ほぼ同時期に全米で、続いて秋にはヨーロッパでも公開され、各誌の大見出しをかざり大ヒット・ロングランを記録した。この映画は監督はもちろんのこと、脚本、プロデュースに至るまでほとんど黒人自信によって創られていつ。アメリカ映画を作っていくことの役目に目覚めた黒人達が、今、自分達のやり方を追求しようとしている。真の意味での新しい黒人映画を作ろうという熱意を抱いて・・・。そして、その熱意はブラック・フィルムを確実に世界的ムーヴメントへと成し遂げつつある。
ファッショナブルな50’Sアメリカンを満喫!!
映画のバックを彩り、時代背景となった50年代のヒットR&Bが次々と流れる『レイジ・イン・ハーレム』。音楽と同様、ファッション、車etc・・・。50’S文化はノスタルジックなムードを醸し出す。退廃的なクラブシーンで、「アイ・プット・ア・スペル・オン・ユー」を過激に叫ぶスクリーミング・ジェイ・ホーキンスは見逃せない。また、チャック・ベリー、リトル・リチャード、ファッツ・ドミノ、ジェイムズ・ブラウン、ロイド・プライス、エルモア・ジェイムズ、ボ・ディドリーらの数々のヒット曲は、当時のハーレムを匂わせる。音楽は、『荒野の7人』『大脱走』などのベテラン、エルマー・バースタイン。ジャズ、ゴスペル、ブルース、R&B、クラシックなど様々な音楽の素養を持つ彼は、50年代ハーレムをダイナミックに演出している。選曲には、ロック・ミュージシャン出身で、『ディック・トレイシー』のサントラにも関わったアンディ・ペイリーが担当。音楽は映画の魅力を益々盛り上げてくれる。
ハリウッド最高のヒットメーカー&最高のエンターティナーが結集!
監督は、『プレデター』『アメリカン・ジゴロ』に出演し、「マイアミ・バイス」等のTV番組の監督も務めたビル・デューク。本作は彼の長編映画デビュー作である。製作には、ニール・ジョーダン監督の『プランケット城の招待状』や、『スキャンダル』などのスティーブン・ウーリーと、『モナリザ』のケリー・ボイルらがあたっている。また、『モダーンズ』『チャイナ・シャドー』のトヨミチ・クリタが撮影を担当。50年代ハーレムの絵画的で、ノスタルジックなムードを演出している。主演には、『バード』でチャーリー・パーカー役を演じカンヌで主演男優賞を受賞したフォレスト・ウィティカーをはじめ、『コットン・クラブ』『ホワイト・ナイツ』のグレゴリー・ハインズ、『リーサル・ウェポン』の実力派ダニー・グローバー、そしてマイク・タイソンの元妻でマスコミを沸かせ、本作で人気急上昇のロビン・ギブンズといった、全て黒人の豪華なキャスティングで固めている。
ストーリー
1956年、ハーレム。ジャズ・クラブやダンスホールには、豪華なドレスやスーツで着飾った人々が集まり、熱いナイト・ライフが繰り広げられていた。ここハーレムで生まれ、教会の保護の元育ち、葬儀屋で勤勉に働くジャクソン(フォレスト・ウィティカー)にとっては、夜のハーレムは別世界だ。ジャクソンには腹違いの兄弟、ゴールディ(グレゴリー・ハインズ)がいるが、彼は、おしゃれで、女好き、ハスラーとしてハーレムで頭角を現してきている。二人はお互いに口をきかない程、仲が悪い。ある晩、ジャクソンはダンスパーティーで、まさに“神様の思召し”のごとくセクシーな女性イマベル(ロビン・ギブンズ)に出会う。しかし、彼女は恋人スリムを裏切り、彼らで盗んだトランク一杯の黄金を持って逃げてきたのだ。彼女はスリムから身を隠すため、ジャクソンを利用しようと彼に近づく。実はイマベルはハーレムの親玉、自分のペットだけを溺愛する社会的病質者イージー・マネーに会うためにパーティに来ていたのだ。ウブなジャクソンはイマベルにのめり込んでいくが・・・。ハーレムにスリムがやって来た時、ジャクソンの目の前から愛するイマベルの姿が消えてしまった。ジャクソンは意を固め、兄ゴールディに協力を求める。ハーレムでは黄金と、イマベルを巡っての大混乱が始まる。
監督:ビル・デューク
制作:ケリー・ボイル/スティーブン・ウーリー
原作:チェスター・ハイムズ
脚本:ジョン・トールズベイ/ボビィ・クラフフォード
キャスト:フォレスト・ウィティカー/グレゴリー・ハインズ/ロビン・ギブンズ/ダニー・グローバー
1991年/アメリカ/108分/ドルビーステレオ
原語:英語
配給:GAGA