ディーバ
DIVA
1994年3月26日-1994年5月6日
完成から13年、日本公開から10年を経て、
今再び『ディーバ』が蘇る。
1981年のジャン=ジャック・べネックスと彼の長編第1作『ディーバ』の衝撃の登場は、1つのエポックだった。そしてそれは、従来のフランス映画にはばい、今まで存在したどの映画のジャンルにも属さない新しいタイプの登場であり、1つの時代の到来を告げていた。この映画に後続する『ポンヌフの恋人』のレオス・カラックスや『グラン・ブルー』のリュック・ベッソンら、ニュー・フレンチ・ムービーのムーブメントの発端になっただけにとどまらず、ファッションや音楽など様々なカルチャーシーンに影響を与える結果となった。90年代になってもこの映画を起とする映画の潮流が、現代のヨーロッパ映画を席巻していると言える。
そのべネックスのデビュー作が再びスクリーンで観られる事になった。折しも93年に同監督の『ベティ・ブルー』の完全版『ベティ・ブルーインテグラル』が公開され大ヒットを記録し、べネックスに熱い注目が集まったが、中でも本作『ディーバ』の再映を望む声は次第に高まっていた。今、ニュープリントによる復活は、10年の歳月を全く感じさせない新しい衝撃として、私たちに多くの影響を与えてくれるに違いない。
ストーリー
音楽を熱烈に愛する郵便配達人の青年ジュールは、ディーバ(=歌の女神)と呼ばれる美しく神秘的な黒人オペラ歌手シンシア・ホーキンスに憧れる余り、彼女の声をテープに盗み取りし、ついには彼女に接近する事に成功する。いつしかふたりの間に純粋な愛情が芽生えつつあった。
一方で売春組織の内幕を暴露した告白したテープが、ジュールの乗るバイクに隠された事から、ジュールは複雑な事件に巻き込まれていく。存在しないはずのディーバのテープで海賊版製作を狙う台湾系レコード業者と、地下組織の秘密が録音されたテープを狙う殺し屋と警察。2本のカセット・テープを持って、パリの街を逃げ回るジュール。偶然知り合ったベトナム系少女アルバと同居人の男ゴロディッシュのカップルによって複雑に絡み合った事件の真相が明かされていく。
監督+脚色+台詞:ジャン=ジャック・ベネックス
原作:デラコルタ
脚色:ジャン・ヴァン・アム
撮影:フィリップ・ルスロ
製作:イレーヌ・シルベルマン
キャスト:フレデリック・アンドレイ/ウィルヘルメニア・フェルナンデス/ロラン・ベルタン/リシャール・ボーランジェ
/ジェラール・ダルモン/シャンタル・ドリュアズ
1981年/118分/パナヴィジョン/ヴィスタ・サイズ/カラー/フランス映画
原語:フランス語
字幕:関 美冬
配給:ギャガ・コミュニケーションズ