ラリー・フリント
THE PEOPLE vs. LARRY FLYNT
ポルノに「表現の自由」は許されるのか?
1997年8月2日-1997年9月26日
★第54回ゴールデン・グローブ賞 最優秀監督賞/最優秀脚本賞
★第47回ベルリン映画祭 金熊賞
全米の良識 VS ポルノ雑誌「ハスラー」創設・発行人
壮絶な闘い 真実のストーリー
“憲法修正第1条(「言論の自由」条項)が俺のようなクズの権利を守ってくれるとしたら、お前たちもひとり残らず守ってもらえるだろう。
なぜなら俺より低俗な人間はいないからさ” ─ラリー・フリント
『カッコーの巣の上で』『アマデウス』─権威・権力と個人との闘争をヒューマンな視点で捉えてきた名匠ミロシュ・フォアマン監督が社会派エンタテインメントの傑作を作り上げた。これはアメリカの偉大な精神である“自由”の意味を問う崇高な闘いを繰り広げた、反道徳的な男の実話に基づく真実の物語。そして彼に献身的な愛を捧げた薄幸の女性との、壮絶なまでに美しい愛を描いたラブストーリーである。
ビジネス(=金もうけ)の手段を確保するために法廷闘争を始めたフリントが、最後には「表現の自由」という崇高な目的へと突き進んでいく課程を、妻アルシアとの純愛や弁護士のジレンマを横糸に、あざやかに浮き彫りにしていく。戦闘服や星条旗のオムツ姿で出廷したり、罰金支払いのためにゴミ袋に1ドル札を詰め込んで売春婦に運ばせたりといった彼の過激な言動。彼の闘争が、彼自身思ってもみなかったことに、検閲に反対するあらゆる人々の支援を勝ちえていく様子。その一方で、ラリーを愛しながらもドラッグとエイズに肉体をむしばまれていくアルシアの悲劇が観客の胸を締めつける。
人間の欲望とは何か、自由とは何か、究極の愛のかたちとは何か─ラリー・フリントという破天荒な男の波乱に富んだ逆説的な半生は、現代社会に生きる私たちに様々な問いを投げかけてくる。
スキャンダラスな男は誰よりも妻・アルシアを愛し続けた
70年代、オハイオ州ストリップ・クラブ・オーナー、ラリー・フリントは、客寄せのためのヌード写真入り新聞を発行。このアイディアの成功を機に出版社を設立した彼は、ポルノ雑誌“ハスラー”を創刊。過激なグラビアとスキャンダラスなスクープ写真を売り者にしたこの雑誌は、たちまちラリーに巨万の富をもたらした。だが同時に彼は、モラルの番人を自認する人々の激しい抗議の対象となる。狙撃され、下半身の自由を奪われてなお、法廷で挑発的な言動を繰り返し、表現の自由の限界に挑み続けるラリー。だが運命は無情にもラリーから彼のもっとも大切なもの─どんな時も彼を支え、共に闘ってきた最愛の妻アルシアの命をむしりとる。彼女への永遠の愛を胸に、ラリーは最高裁での最後の闘いに臨む・・・。
フリントの陰影に富んだ複雑な人生を自在に演じるのは『ナチュラル・ボーン・キラーズ』のウディ・ハレルソン。ラリーへの愛を貫き、短い一生を終えるアルシア役で体当たりの演技を見せるのは、ロック界のクィーン、コートニー・ラブ。女優としての初の大役ながら、エキセントリックで情熱的な反面、愛がなくては生きていけない女のもろさを繊細に演じてみせた。『真実の行方』で注目の若手エドワード・ノートンが演じるのはラリーの弁護士アイザックマン。無軌道なラリーに翻弄されながらも、最後まで彼の友人であり続ける良心の人を誠実に演じてみせ、高い評価を得ている。
その他、ハレルソンの実弟ブレットがラリーの弟ジミー、『ベイブ』でオスカー候補となったジェームズ・クロムウェルが反ポルノ運動家キーティングに扮している。ラリー・フリント本人も出演、彼らしく裁く立場に回り判事役を皮肉たっぷりに好演している。
脚本は『エド・ウッド』のコンビ、スコット・アレクサンダーとラリー・カウゼウスキー。撮影監督は『リバー・ランズ・スルー・イット』でオスカーを受賞したフランス映画界出身の名手フィリップ・ルスロー。
【WHAT IS “HUSTLER”MAGAZINE?】
創刊1974年。ラリー・フリントが創刊した「ハスラー」は、それまでの男性雑誌に大きな衝撃を与えた。その衝撃とは、「ペントハウス」のヌード写真の恥毛以上に、女性器を丸出しにした事にあった。こうした隠されたカーテンを引き裂くようなガーリー・マガジン(ポルノ雑誌)はそれ以前には存在しなかった。
監督:ミロシュ・フォアマン
製作:オリバー・ストーン/ジャネット・ヤン/マイケル・ハウスマン
脚本:スコット・アレクサンダー/ラリー・カラゼウスキー
自伝「ラリー・フリント」:徳間文庫
キャスト:ウディ・ハレルソン/コートニー・ラヴ/エドワード・ノートン/ブレット・ハレルソン/ドナ・ハノーヴァー/ジェームズ・クロムウェル
1996年/アメリカ/スコープサイズ/ドルビーSR/129分
原語:英語
字幕:菊地浩司
配給:ソニー・ピクチャーズ・エンタテイメント