シーズ・ソー・ラヴリー
She’s So Lovely
おまえにゾッコン
1998年3月21日-1998年6月12日
★第50回カンヌ国際映画祭 最優秀男優賞・高等技術院賞
エディとモーリン キレたふたりの純な愛
◆よみがえった幻のラヴ・ストーリー
『シーズ・ソー・ラヴリー』はキレたカップルの純愛を描いたラヴ・ストーリー。脚本はアメリカのインディ映画の父で伝説の名監督、『グロリア』の故ジョン・カサヴェテスが20年前に書き下ろした。監督はジョンの実子で『ミルドレット』で監督デビューをはたしたニック・カサヴェテス。主演はジョンの生前から映画化を熱望、一時は映画化権を継承した『デッドマン・ウォーキング』のショーン・ペン。相手役に実際の妻である『フォレスト・ガンプ/一期一会』のロビン・ライト・ペン。そして、主演の一人であるジョン・トラヴォルタや、フランス映画界のスーパースターであるジェラール・ドパルデュー、インディ・プロダクションの雄ミラマックスが製作に参画。ジョンの妻、ニックの母であるジーナ・ローランズも出演。熱い思いのもとに創り上げられた本作は1997年第50回カンヌ国際映画祭に正式出品され、ショーン・ペンが見事主演男優賞に輝いた。
◆不格好で、純粋な愛
他人から見れば何をするかわからず、将来のことなど窺い知る由もないエディとモーリーン。しかし、世間の常識にとらわれず、愛を起点に生きている2人はお互いのためなら何物をも犠牲にする純粋さを持っている。ところが、エディが病院に収容されて10年間離れて暮らす間に、モーリンはジョーイと暮らし始める。ジョーイはモーリーンを熱愛し、彼女もエディを愛しながらジョーイも愛している。そして、決断に迫られる3人。このストレートな愛情が見るものを驚かす。この映画には、そうした周囲や一般からは理解されにくい、不格好だが深く純粋な愛のかたちが描かれていく。
その過激さゆえに笑いさえ誘う純愛を描くのはジョン・カサヴェテスの独壇場。『こわれゆく女』、『オープニング・ナイト』など数々の傑作を生み出してきた彼だが、本作にもその流れは脈々と息づいている。到達せず、形成されない愛。ラストの潔さ。エキセントリックな登場人物の誰にも感情移入出来ないはずなのに、もの寂しく、懐かしく、愛しく、いつのまにか心の一隅を占められてしまうそんな映画。見終わった後、じわじわと重さが増してくる不思議な鑑賞後感が最高に心地よい。
◆彼女がとても愛しくて
エディとモーリーンは若く無軌道なカップルだが、深く愛し合っていた。ある日、3日も帰ってこないエディを探しにモーリーンは酒場に行く。エディはおらず、モーリーンは同じアパートに住む隣人と酒を飲みだすが、その男に暴行されてしまう。翌日、帰ってきたエディはモーリーンの晴れ上がった顔を見て心配する。翌朝、暴行を察して激昂し、錯乱したエディは銃を手に隣人を捜し回るが、とり押さえられ精神病院に収容されてしまう。10年が経過して、モーリンは新しい夫ジョーイと3人の娘と幸せに暮らしていた。長女はエディとの間に生まれた娘である。そんな時、退院してきたエディがモーリーンに変わらぬ愛を訴える。2人の愛の板挟みに悩むモーリーンは、何を選択するのだろうか?
◆熱い思いを支える優秀な共演者とスタッフ
アメリカを代表するスーパースターであるショーン・ペン、ロビン・ライト・ペン、ジョン・トラヴォルタを支える共演陣は、エディの友人役に『パリ・テキサス』のハリー・ディーン・スタントン、『イン・ザ・スープ』のデビ・メイザー、嫌らしい隣人役に『ゲット・ショーティ』のジェイムズ・ギャンドルフィニなど、また『ロッキー』シリーズのバート・ヤングとタリア・シャイヤが特別出演してエールを送っている。プロデューサーには『ミルドレッド』のルネ・クレマン。撮影は『フィフス・エレメント』と本作でカンヌ映画祭高等技術院賞を受賞したリュック・ベッソン組のティエリー・アルボガスト。プロダクション・デザインは『レザボア・ドッグス』などタランティーノ組として知られるディヴィッド・ワスコ。編集は『ミルドレット』のペトラ・フォン・オールフェンが担当している。
製作総指揮:ベルナール・ブイ/ジェラール・ドパルデュー/ショーン・ペン/ジュン・トラボルタ
共同製作総指揮:ボブ・ワインスタイン/ハーヴィ・ワインスタイン
監督:ニック・カサヴェテス
製作:レネ・クレイマン
脚本:ジョン・カサヴェテス
キャスト:ショーン・ペン/ロビン・ライト・ペン/ジョン・トラヴォルタ/ハリー・ディーン・スタントン/ジーナ・ローランズ
1997年/アメリカ・フランス/スコープサイズ/96分/ドルビーSRD
字幕:松浦美奈
提供:アスミック/テレビ東京
配給:アスミック