夜になるまえに
Before Night Falls
ぼくには、伝えたい言葉がある
2001年9月22日-2001年11月16日
「キーボードに両手をすべらせる。すぐ、すべてが動き出す。
カチャ、カチャ、カチャカチャという音が、音楽が、はじまる」
─レイナルド・アレナス
●キューバの亡命作家レイナルド・アレナスが
死の直前に綴った自伝「夜になるまえに」
あまりにも純粋に、あまりにも壮絶に自由を求め続けた作家レイナルド・アレナス。母国キューバでは処女作以外の全てが発禁処分となるが、第2作「めくるめく世界」がフランスで出版され、メディシス賞を受賞、一躍世界に名が知れ渡る。自らの人生を語った自伝「夜になるまえに」を『バスキア』のジュリアン・シュナーベル監督が豪華キャストを迎え4年の歳月をかけて映画化。天国と地獄を行き来するようなアレナスの波乱に満ちた一生を、シュナーベルは繊細な演出によって、湿り気と芳香を
含んだ官能的でさえある映像美で綴っていく。主演のハビエル・バルデムは本作で
各映画賞の主演男優賞に名乗りを上げた。
●「ぼくの魂はどこに還るのだろう」
1943年6月16日キューバにて生誕。極貧の幼年時代、カストロに熱狂したキューバ革命を経て、20歳で作家としてデビュー。しかし独裁政権下では、作家またはホモセクシャルというだけで迫害の対象となり、アレナスは投獄される。
80年ニューヨークへ亡命。エイズ発病。90年12月7日、鎮静剤の多量摂取により
自殺─。熱狂的な原色、音楽、エロスと暴力的なエネルギーみなぎる南国キューバ。独裁政権から逃れるため故郷を捨てて、アレナスがめざしたのは摩天楼と資本主義と自由の国アメリカ。しかし彼の旅はそこで執着しなかった。対照的な二つの国の狭間で揺れ動く理想と幻滅は、作品世界の通奏低音となって、深く静かに胸を刺す。弾圧も亡命も病気すらもアレナスの筆をとめる理由にはならなかった。照明のないキューバの独房では“夜になる”、そしてニューヨークでは“死が訪れる”、その最後の一瞬まで、溢れ出る言葉を書きつづけた。彼にとって本当に「帰りたい」ところとは何処だったのか。この映画が答えのひとつを示唆してくれるだろう。
監督:ジュリアン・シュナーベル
プロデューサー:ジョン・キリク
脚本:カニンガム・オキーフ/ラサロ・ゴメス・カリレス/ジュリアン・シュナーベル
撮影監督:バビエル・ペレス・グロベ/ギジェルモ・ロサス
プロダクション・デザイナー:サルバドール・パーラ
編集:マイケル・ベレンバウム
共同プロデューサー:マティアス・アーレンバーグ
コスチューム・デザイナー:マリエステラ・フェルナンデス
音楽:カーター・バーウェル
(特別挿入歌:ルー・リード&ロンリー・アンダーソン)
キャスト:ハビエル・バルデム/オリヴィエ・マルティネス/アンドレア・ディ・ステファノ/ジョニー・デップ/ショーン・ペン/マイケル・ウィンコット/ナジュワ・ニムリ/エクトル・バベンコ
2000年/アメリカ/カラー/133分/ビスタサイズ/ドルビーデジタル
字幕:松浦美奈
原語:英語
提供:アスミック・エース エンタテインメント/角川書店
後援:スペイン大使館
宣伝:アスミック・エース
配給:アスミック・エース