まぼろし
Sous le Sable
あなたは万物となってわたしに満ちる
2002年9月14日-2002年11月22日
愛するものを失った時─
喪失と受容の物語
●平凡な日常を波にさらわれた妻。幸せはふいにこぼれ落ち、世界は空転する。それでも愛はすべてを引きよせる
マリーとジャンは幸せに連れ添って25年になる50代の夫婦。毎年夏になるとフランス南西部のランド地方にヴァカンスに出かける。今年もまたランドにやってきたふたりだったが、マリーが浜辺で午睡する間に海に入った夫は、手がかりひとつ残さず消えてしまう。事故なのか、失踪なのか、それとも自死なのか…。幸福な日常を波にさらわれ、喪失の深い溝におちていくマリー。しかし彼女は遠い記憶の一点から、静かに届く涙を経てありのままを享受し、不変的な愛を引きよせる。やがてそれは万物となって、彼女のなかの隅々にまで満ちていくのだった…。
●『愛の嵐』から『まぼろし』へ。歳月が与えた神の恩寵とも見まがう、シャーロット・ランプリングの美しき成熟
主演は『愛の嵐』や『地獄に堕ちた勇者ども』などで退廃と官能の美を見せつけたシャーロット・ランプリング。歳月は、内面的な深みや翳りを全身にゆきわたらせた大人のエロティシズムを彼女に刻み、『まぼろし』においては、女優としてのすべてのキャリアが結晶作用を起こしたような、驚嘆すべき美しさと風格を漂わせている。本作の世界的な成功により、世界中の監督や俳優たちにとってのイコンとして、再び強烈に存在をアピールすることになった。
監督+脚本:フランソワ・オゾン
共同脚本:エマニュエル・バーンヘイム/マリナ・ド・ヴァン/マルシア・ロマーノ
撮影:ジャンヌ・ラポワリー(第二幕)/アントワーヌ・エベルル(第一幕)
録音:ジャン=リュック・オディ/ブノワ・イルブラン
キャスティング:アントニー・ビュレ
編集:ローランス・バヴェダー
プロデューサー:オリヴィエ・デルボスク/マルク・ミソニエ
製作会社:フィデリテ・プロダクション
共同製作:ユーロスペース/オーエクール/アルテ・フランス・シネマ
キャスト:シャーロット・ランプリング/ブリュノ・クレメール/ジャック・ノロ/アレクサンドラ・スチュワルト/ピエール・ヴェルニエ/アンドレ・タンジー
2001年/フランス/95分/カラー/ヴィスタ/ドルビーSRD
原語:フランス語
字幕:松岡葉子
提供:トライエム+ユーロスペース
宣伝:ユーロスペース
配給:ユーロスペース