ダウン・イン・ザ・バレー
Down in the Valley
君は谷間に吹く風
2005年12月17日-2006年1月27日
第58回カンヌ映画祭 ある視点部門正式上映作品
●彼女のまなざし、彼女の微笑み、彼女の肌、それが僕のすべてだった。
ロサンゼルス郊外の住宅地、サンフェルナンド・バレー。乾いた土地をつらぬく12車線のフリーウェイ以外なにもない土地。17歳の少女トーブは、ただ積み重なっていく日常から自分を連れ出してくれる存在を求めていた。そして、ガソリンスタンドで出会った風変わりな男ハーレン。どこか謎めいた雰囲気の男にトーブは惹かれ、海へと誘った。自分を大人の女として扱ってくれる年上の男性。トーブはハーレンとの恋に夢中になり、ハーレンもまた、彼女の美しさと純粋さにのめり込んでいく。しかし、ふたりの関係が深まる一方で、ハーレンの、時に常識を踏み外す行動が思いもしない事件を引き起こし・・・。
●ハリウッドきっての演技派エドワード・ノートンと期待の新星エヴァン・レイチェル・ウッドが物語に吹き込む息吹
今年のカンヌ映画祭、ある視点部門で上映され絶賛された本作『ダウン・イン・ザ・バレー』。知性とカリスマを兼ね備えた現代アメリカを代表する演技派 エドワード・ノートンが、その脚本にほれ込み、主演のみならず製作も手がけた話題作だ。監督、脚本は、これが長編第二作目となる新鋭デヴィッド・ジェイコブソン。切ないラブストーリーであり、少年・少女の成長物語でありつつ、現代の郊外 を舞台にした西部劇でもあるという非常に独創的な脚本にほれこんだノートンはデリケートな心理表現を必要とするハーレン役を快諾。自らプロデューサーと しても作品に関わり、さらに編集にも携わるなど、この作品に対し並々ならぬ情熱を注いでいる。ハーレンと恋に落ちる少女トーブを演じるのは、『サーティーン あの頃欲しかった愛のこと』でゴールデン・グローブ賞主演女優賞にノミネートされたエ ヴァン・レイチェル・ウッド。清冽な美しさと大胆な演技で少女のあやうさ、激しさを見事に表現し、撮影当時17歳ながらノートンと互角の存在感を見せつ けた。人気ファッションブランドmiumiuの2005AWワールドキャンペーンモデルにも抜擢され、今最も注目を集める若手女優だ。トーブの弟で繊細 な心を持ち、ハーレンをヒーローと慕うロニー役は、カルキン・ファミリーの末弟ローリー・カルキン。子供から少年への過渡期にある、難役を見事にこなし ている。さらに、姉弟を男手ひとつで育てる刑務官の厳格な父親役を『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のデヴィッド・モースが演じ、ドラマに奥行きを与えて いる。
●サンフェルナンド・バレー、舞台としての郊外(サバービア)
そして映画のもうひとりの主人公ともいえるのが、「ザ・バレー」と呼ばれる、サンフェルナンド・バレーの町だ。『マグノリア』をはじめ多くの映画にも 登場する、郊外の典型というべき、色を感じさせない町並みと、渇いた空気。きれいに造成されてはいるが、どこか荒んだ印象を与えるこの町のシンボルは、 12車線もあるフリーウェイ。心に空洞を抱えた登場人物たちにとってこのサバービアの風景は、西部劇における砂漠のように荒涼とした舞台を提供してい る。哀愁をおびた名曲「ダウン・イン・ザ・バレー」の調べと共に、切ない愛の物語はきっと心に深く刻まれることだろう。
監督+脚本: デヴィッド・ジェイコブソン
出演:エドワード・ノートン/エヴァン・レイチェル・ウッド/ローリー・カルキンル/デヴィッド・モース
2005年/アメリカ/カラー/シネマスコープ/ドルビーデジタル、DTS/112分
字幕:松浦ミナ
宣伝:アニープラネット
配給:アートポート