ライアン・ラーキン 路上に咲いたアニメーション
RYAN LARKIN and his animations
25歳、『ウォーキング』でアカデミー賞ノミネート。
28歳、アニメ史上に残る傑作「ストリート・ミュージック」完成。
そして彼はすべての栄光を捨て、ホームレスになることを選んだー。
2009年9月19日-2009年11月6日ライズエックス
たった4本の短編で世界を魅了した伝説のアニメーション作家、
ライアン・ラーキンが残した7つの奇蹟。
★世紀の天才と讃えられながら、突然路上に消えた孤高のアニメーション作家
1965年から72年にかけて、たった4本の短編作品を残し、2007年にこの世を去った伝説のアニメーション作家、ライアン・ラーキン(1943-2007)。わずか25歳にしてアカデミー賞短編アニメーション部門にノミネートされるなど、瞬く間にその名を世界に轟かせた彼だったが、若すぎた成功と創作へのプレッシャーに追い詰められ、やがてすべての栄光を捨てホームレスとなり、道行く人に小銭を求めて生きることを選ぶのだった・・・。
★偶然の出会いと、アカデミー賞受賞作『ライアン』 そして、奇跡の復活へー
ホームレスになって10年以上が過ぎたある日、彼の境遇を知った国際アニメーション映画祭のディレクターが、ライアンを審査員として呼び寄せた。他の審査員たちは、得体の知れない人物の加入に不満を抱いていたが、ある夜、事態は急変する。審査員自身が手掛けた作品を互いに鑑賞する上映会。最後に映し出された、ただ人が歩くだけの、わずか5分の短編に、全員が感動のあまり言葉を失った。その作品こそ、目の前にいる謎の男、ライアン・ラーキンの傑作『ウォーキング』だったのだ。
そして、その場にいた審査員の1人、CGアニメーション作家クリス・ランドレスは、ライアンの魅力にひきこまれ、彼へのインタビューを基にCGアニメ作品『ライアン』を制作。同作が、2005年アカデミー賞短編アニメーション部門でオスカーを受賞したことで、ライアン・ラーキンの名は再び世界の注目を集めることとなった。
★35年ぶりの新作を含む全7作品を世界初の一挙上映
その後、周囲の協力で路上生活を脱したライアンは、実に35年ぶりとなる復帰作『スペア・チェンジ 小銭を』の制作に取りかかったが、完成前の2007年2月14日、肺ガンにより他界。しかし、2008年の冬、彼が亡くなる直前まで描き続けたドローイングを基に、仲間たちの手によって、幻の新作が完成されたのだった。
この『ライアン・ラーキン 路上に咲いたアニメーション』では、アニメ史上に残る名作『ウォーキング』『ストリート・ミュージック』など、ライアンが生前に残した4本の短編全作品と、死後に完成した遺作『スペア・チェンジ 小銭を』に加え、クリス・ランドレス監督のオスカー受賞作品『ライアン』、そしてライアン本人へのインタビューを収めたドキュメンタリーのダイジェスト映像を一挙上映。栄光と苦悩、人間への憤りと誰よりも深い愛情を併せ持った奇蹟のアニメーション作家のすべてが、ここに蘇る。
--------------------
遅れてきた青年は不幸ですが、時代に先駆けることは時に悲劇を招きます。
早すぎた成功が人生の空白で埋め合わされるのなら、
ライアン・ラーキンは路上で小銭を稼ぐしかなかったのかもしれません。
いまこの時代に生まれた不運と幸運を甘受しつつ、
僕はメディアで小銭を稼ぐことにします。
─押井守(映画監督)
なるほど、と思いました。
1970年前後の「ガロ」の漫画家たち(サイケな佐々木マキ、アニメーターでもある
林静一、早く一線から退いた安倍慎一など)を思い出しました。
あるいは「ウィ・アー・ザ・ワールド」で歌いにくそうにしていた
ボブ・ディランの姿なども思い出しました。
やっぱり組織や商売に合わず一人で作る人って、チャーミングでいいですね。
─会田誠(美術家)
純粋に、自由に。
こわれやすい感受性にライアン・ラーキンの生の謳歌を。
─山村浩二(アニメーション作家)
【上映作品 *上映順】
●第77回アカデミー賞短編アニメーション賞受賞『ライアン』
2004年/13分/監督:クリス・ランドレス
●『ライアン・ラーキンの世界』特別版
2004年/3分/ 監督:ローレンス・グリーン
●『シランクス』
1965年/3分/監督:ライアン・ラーキン
●『シティスケープ』
1966年/1分/監督:ライアン・ラーキン
●第42回アカデミー賞短編アニメーション賞ノミネート『ウォーキング』
1968年/5分/監督:ライアン・ラーキン
●『ストリート・ミュージック』
1972年/9分/監督:ライアン・ラーキン
●『スペア・チェンジ 小銭を』
2008年/7分/監督:ライアン・ラーキン、ローリー・ゴードン
1960-2008年カナダ作品/デジタル上映/スタンダード/本編計44分/ステレオ
提供:トランスフォーマー
後援:カナダ大使館
宣伝:トルネード・フィルム
配給:トランスフォーマー+トルネード・フィルム